大和三山、天河大弁財天社、安部文殊院

 

ホテルの近くにある猿沢池から見る興福寺五重塔はとても美しい。

水面に逆さに映る柳、ライトアップされた塔のシルエットや光。人の影。

食後の夕涼み。鯉が跳ねる音がする。夜の水の中に鯉はまだ泳いでいるかな?

 

本日も遡ります。

夕飯はならまちでイタリアン。大和牛とポークがたっぷり入ったミートソースを地元のビール「そらみつ」でいただく。油が少ないトマトでべっちゃりもしていない。まるでふりかけみたいにさらっとしたお肉のそぼろといった方が近い。でも、ちゃんとミートソースの味がする。細めのスパゲッティが深いお皿にたっぷり詰まっていて、お肉もたっぷり載っている。このソースをつまみにビールをいただいた。苦みがすくなくすっきりとた味わい。薄いのではなく、いい素材を使っていそう。ラベルの裏をみたら新潟で生産されていた。なるほど。遠くとも妥協をしないのだな。奈良と新潟は似ていると思う。必要以上に開発をせず、自然を優先し、地元で採れたものを丁寧に調理して食す。決して派手ではないけど、味わいが深く飽きることがない。

ついてきたサラダの野菜もフレッシュだった。クルトンは黒パンかができている。黒パンっていいセレクト。

何でここ来たかというと、サンルートホテルでならまちで使える500円チケットを二人分もらったから。午後6~6:30で多くの店が閉まる。縦横の路地に雑貨店、カフェ、イタリアン、居酒屋、すし屋、など小さなお店が立ち並び、歴史と今のセンスが混じりあう。御朱印帳専門店では友人が、買ったばかりの帳面があるのに衝動買いをしていた。

 

ぶらりぶらりしていると、お寺の鐘が聞こえたりする。雑貨店からはお香のにおいが漂い、知らぬ間に癒されてゆく。

 

この日、夢が叶った。見てみたかった香久山、耳成山畝傍山を移動中の車の窓から見ることができた。さらには二上山までも!立ち寄った安倍文殊韻にある安倍清明が観測していた天文台へ何気なく登ったら、向かって右に耳成山、左にちろりと香久山、畝傍山、奥の方にに二上山が見えた。なんとそこには藤原京もあったそうで、憧れていた万葉の時代の中心地がひろがっていた。

 

安倍文殊韻、スマホが薦めてきていた。友人はここにある文殊菩薩の獅子がかわいくて、いつか行ってみたいとお気に入りに入れておいたそうだ。そんなことで即決で行くことになった場所。ご本尊の文殊菩薩は知恵の神様でクール。その菩薩を載せた獅子の顔が困ってびっくりして、かつ気を吐いていて、絶妙な表情をしている。そのまわりの五体の像もみな違うテイストで、仏教臭くないユニークな表情をしている。

ここは祈祷でなりたっているお寺らしい。外からの参拝は無料。中の仏像をみたりするには拝観料は支払うけど、お坊さんの解説によると葬式もないそうだ。祈祷だけで成り立っているのは、祈祷になにかあるおかげかもしれないとおっしゃっていた。

 

祈祷にはたぶんなにかある。その前に出かけた天河弁財天社は、境内に一歩入ると空気が一変する。奈良南部にあり、大峰山からの湧水が川になって流れる、元々清らかな自然に囲まれている地だから、水、緑、風が本当にすがすがしい。それに増してなのは、祈祷や掃除といった人が作りだした気が関わってくるに違いない。

里山のように、天と人は決して交わらないが隣り合わせで共存するエリア作りが、人間は上手なのだな、と想像した。

 

お昼は歩いて1分のログハウスのカフェで、スパイシーにしてもらったココナッツカレーを食べた。カボチャ、ホウレン草、よく分からない芋(地の野菜?)などがトッピングされている。野菜がおいしい。また無農薬のハーブティーが今まで飲んだ中で一番おいしかった。

 

ホテルの朝ごはんもおいしい。ロケーションと食事のうまいホテルなんて、最高ではないか。

バイキングでは生野菜てんこもり、フルーツ、お漬物、ほかのおかずもつぎつぎ足されてゆく。奈良は盛りが良い気がする。ケチることなど念頭になく、自然体でたっぷりともてなしてくれる。いいなあ。ありがとう!